知的障害児らが入所する県立福祉センター「養育園」(袖ケ浦市蔵波)での暴行問題で、県は14日、社会福祉法人「県社会福祉事業団」が運営する別の施設「更生園」も含めた計4回の立ち入り検査の結果を公表した。計3施設で2005年11月以降、入所者への暴行に加え、性的嫌がらせなども確認され、虐待した職員は計15人に上った。同事業団が県への事故報告書の提出を怠るなど運営上の問題も浮かび上がった。
県は、2004年度からの10年間の虐待を調べ、確認されたものとして15人の虐待を公表した。両園のほかに「アドバンスながうら」(袖ケ浦市蔵波)で暴言を吐くなどの心理的虐待も確認された。
また、2009~11年度に更生園での計4件の事故報告書が、当時の施設長から県に提出されていなかったことも判明した。県は、うち2件を暴行、1件を心理的虐待、1件を不適切な支援と認定した。
理由について、職員からは「県に出すと事が大きくなるので出さない方が良いと判断した(と聞いた)」などの証言が出ているという。県は施設長らに隠蔽の意図がなかったかどうかについて慎重に調べる。
このほか、更生園では職員が作成した事故報告書を、現場の責任者にあたるリーダーが留め置き、上層部に報告していなかった事故報告書が72件あった。県はこの中に暴行事案がないかどうかについても調べる。このリーダーは「内容を確認しようとしたが(忙しくて)手が回らなくなった」と話しているという。
県は15日から再び更生園への立ち入り検査を行う。
同事業団の近藤敏旦理事長は14日、袖ケ浦市内で記者会見を行い、「暴行を受けた入所者におわび申し上げたい。起きたことを洗いざらい出し切って、新しい事業団に生まれ変わるよう頑張らないといけない」と陳謝した。問題点について、教育、研修の在り方や職員の技術、知識などを挙げたうえで、「何が原因かはまだ言えるに至ってない」と語った。
また、同事業団は、県の改善勧告に応じ、養育園の武田逸朗施設長を同日更迭したことを明らかにした。
(2014年1月15日 読売新聞)